Yosemite環境問題の本

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環境問題関係の本を二冊ほどご紹介します。まずはAlfred Runteの”Yosemite”。ヨセミテ国立公園ができてから終わることなく続く、保護と利用に関する論議についてまとめた本です。最近話題になった”Needle-Miner”によるLodgepole Pineへの被害の対策すら、するかしないかで過去に論議があったようです。NPSのWebsiteからダウンロードできます。
もう一冊はHetch-Hetchyダム問題に関する専門書です。ダムに没する前のHetch-Hetchy Valleyの話(当然Muirがでてきます)、サンフランシスコの水問題、賛成派と反対派の論争、そして連邦議会での論議、建設の話などが、中立の立場で非常に詳しく書かれています。意外なことに、当時のダム化反対主派(Sierra Club)は、Hetch-Hetchy Valleyにホテルやレストラン等を作り、さらにはTuolumne Meadowsへと続く道路建設(Colby Brief)を考えていたそうです。貴重な数々の写真とともに、1世紀近く前の興味深い環境論争が伺えます。
[1]Alfred Runte, “Yosemite, The Embattled Wilderness”,University of Nebraska Press, ISBN 0-8032-3894-0
[2]Robert W. Righter,”The Battle Over Hetch Hetchy”,Oxford University Press,ISBN 0-19-514947-5

The Yosemite: Galen Rowellの写真集

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Galen Rowellの写真集「The Yosemite」は、John Muirのオリジナル「The Yosemite」の文章と、Rowellの撮影した写真とを組み合わせて作られた写真集(本)です。元ヨセミテクライマー・登山家ならではの、意外な視点、時間、季節、場所で撮影された、素晴らしい写真が使われています。また写真だけでなく、(かなり長いですが)イントロダクションや各写真に書き足された解説もなかなか味があります。ヨセミテ土産お勧めの一冊です。
ISBN 0-87156-653-2

Missing in the Minarets

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1933年7月末、サンフランシスコの若手弁護士Peter Starr(Walter A. Starr Jr.)は、単独で2週間のシエラネバダへ探査に出かけました。当時Peterは完成したばかりのJohn Muirトレイル、及びシエラの山々のガイドブックを作っていました。8月7日に、パリセード山群近くのGlacier Lodgeで待ち合わせをしていたPeterの父Walterは、予定日を数日経ってもやってこない息子に何かが起きたと確信し、捜索願いを出しました。やがて、Peterの車がMammoth Lakes近くのAgnew Meadowsで発見されます。目撃証言から、Peterが付近で遭難した可能性が高まります。そして、Ediza Lakeをベースキャンプにし、Ritter-Banner-Minaret山群で、当時の有名な登山家Norman ClydeやEichorn、Dawsonらも含む大規模な捜索が開始されました。PeterがMt. Ritterに残したメモや、アイゼン、ピッケル、カメラなどがベースキャンプそばで見つかったものの、Peterの行方は依然わからず、やがて捜索は打ち切られることになります。Norman Clydeは、あきらめずただ一人山に残り、単独でMinaret付近での捜索を続け、ついに8月25日にPeterの遭難現場を発見しました。そして、そのニュースはメモリアルサービスを準備中のStarr家に、当日夜遅く伝えられました。
当時の(綺麗な)モノクロ写真、関係者へのインタビュー、詳しい調査に基づいて書かれたドキュメンタリーです。山の遭難というと暗いイメージが思い浮かびますが、そのような感じを全く与えない、すばらしい本に仕上がっています。遭難から一年後、Peterの遺稿は父Walterの手により仕上げられ、”Starr’s Guide to the John Muir Trail and the High Sierra Region”として発行され、その後多くの人々に愛用されるようになりました。
Missing in the Minarets
The Search for Walter A. Starr, Jr.
William Alsup著
Yosemite Association出版
ISBN: 1-930238-18-5 (softbound)
ISBN: 1-930238-08-8 (hardbound)

Sunset Limited

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California State University HaywardのRichard Orsi教授著の”Sunset Limited”が先日発刊されました。この本は当時、政治経済に多大な影響力を誇ったSouthern Pacific鉄道会社に関する研究をまとめた本です。資料も含め600ページとかなりボリュームのある本です。特に、ヨセミテがらみで興味を惹かれるのはその最終章”Conservation”です。Orsi氏の研究によると、1890年のヨセミテ国立公園設立の最大の貢献者は、通説になっているJohn MuirやRobert Underwood Johnsonの運動ではなく、並行して独立に行われていたSouthern Pacificと関わりのあったVandever議員やロビィストのZumwaltによる運動にあるとしています。そこには鉄道会社の自然保護(Wilderness Preservation、Conservationではない)への強い関心がありました。最近の専門書はこの説を、おおむね支持しているようです。近いうちに要約を載せたいと思います

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John Muirの知名度

John Muirは実際のところ、アメリカで有名なのでしょうか?残念ながら知名度ランキングは見当たりません。そこでAmazonのセールスランキングをしらべてみました。
John Muir:
The Wild Muir: Twenty-Two of John Muir’s Greatest Adventures #172,134
Meditations of John Muir: Nature’s Temple #319,046
My First Summer in the Sierra #253,887
The Yosemite #285,395
John Muir: The Eight Wilderness Discovery Books #174,390
The Wilderness World of John Muir #60,446
かなり苦戦のようです。
ちなみにAnsel Adamsは以下のとおりです
The Camera (Ansel Adams Photography, Book 1)  #14,738
The Negative (Ansel Adams Photography, Book 2)  #7,398
Americas Wilderness: The Photographs of Ansel Adams  #23,522
Examples : The Making of 40 Photographs #6,651
今年はLewisとClarkに率いられた探検隊が、初めてアメリカ大陸を横断して太平洋に到達してから200年目に当たります。彼らに関する本は
Undaunted Courage: Meriwether Lewis Thomas Jefferson and the Opening of the American West #5,732
National Geographic Guide to the Lewis & Clark Trail #29,117
Lewis And Clark On The Trail Of Discovery : An Interactive History with Removable Artifacts (Lewis & Clark Expedition) #14,013
で、#1は
Harry Potter and the Half-Blood Prince (Book 6)でした。

Fresh Look At Yosemite

10年越し(計画から終了まで)のヨセミテ滝周辺の工事が終わったそうです。
San Jose Mercury Newsの一面記事になっています。
記事では http://www.yosemitefund.org を参考にしています。
工事費用の主な募金者:
$1.7M 入園料、連邦の基金
$1M  Sunset Magazinの(前)出版者Bill Lane
$1M Chevron Texaco(石油会社)
$1M  Mary Bell Floyd Memorial Fund
$500K ヨセミテライセンスプレートからの収益
SJ Mercuryのon-line版
Yosemite makeover
”In an effort to restore natural character, officials at Yosemite National Park have completed a $13.5 million renovation of the visitor areas around the base of Yosemite Falls.”

おじいちゃんと森へ

“GRANDAD’S PRAYERS OF THE EARTH”
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原作:ダグラス・ウッド 絵:P.J.リンチ 訳:加藤則芳 エッセイ:C.W.ニコル
平凡社 本体1,800円
「ジョン・ミューア・トレイルを行く」の加藤則芳さんの訳された絵本。「訳者より」にはこの本の原書”GRANDAD’S PRAYERS OF THE EARTH”との出会いが、ヨセミテヴァレーのアンセル・アダムス・ギャラリーであったと記されています。
★「おじいちゃんと森へ」のご購入はこちら

PhotoSecret

2001年6月の記事(by suyama)より引用。
>ついでに、私が愛用しているもう一冊も紹介しておきましょう。
>PhotoSecretsというシリーズです。
>サンフランシスコ編(→ http://www.photosecrets.com/ssf.html )
>がお勧めですが、その中のヨセミテ国立公園だけを抜き出した、
>ヨセミテ版(→ http://www.photosecrets.com/sys.html )もあって、
>そっちは現地でも売ってますので簡単に手に入るでしょう。
>写真好きの人にはたぶん役立つと思います。
写真を撮らない人でも、お気に入りのビューポイントを探す参考になると思います。