California State University HaywardのRichard Orsi教授著の”Sunset Limited”が先日発刊されました。この本は当時、政治経済に多大な影響力を誇ったSouthern Pacific鉄道会社に関する研究をまとめた本です。資料も含め600ページとかなりボリュームのある本です。特に、ヨセミテがらみで興味を惹かれるのはその最終章”Conservation”です。Orsi氏の研究によると、1890年のヨセミテ国立公園設立の最大の貢献者は、通説になっているJohn MuirやRobert Underwood Johnsonの運動ではなく、並行して独立に行われていたSouthern Pacificと関わりのあったVandever議員やロビィストのZumwaltによる運動にあるとしています。そこには鉄道会社の自然保護(Wilderness Preservation、Conservationではない)への強い関心がありました。最近の専門書はこの説を、おおむね支持しているようです。近いうちに要約を載せたいと思います
Sunset Limited
The Southern Pacific Railroad and the Development of the American West
1850-1930
Richard J. Orsi
University of California Press
[註1] ”Sunset Limited”は、Southern Pacific鉄道の豪華客車の名前。New Orleans-San Francisco間を走る(序文より)。
[註2] 1906年に、Muirらがヨセミテ渓谷を州から国立公園に返還させる運動を展開した時に、E. H. Harriman(1901年よりSouther Pacificの経営権をも握っていた)はMuirに助力を求められた。Harrimannは、州及び連邦議会の議員にその影響を与え、返還法案が成立したのは有名な話。
[参考]Historyアーカイブの”ヨセミテ国立公園の設立:1890年”