Tuolumne

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ヨセミテ国立公園は、Merced川とTuolumne川による二つの水系から成り立っています。公園内最大の観光スポットであるヨセミテ渓谷は南側のMerced水系に、一方、ハイシエラでのアクティビティの中心地ともいえるTuolumne Meadowsは、Tioga RoadとTuolumne川の主流の交わる処にある高地の草原地帯で、その名が示すようにTuolumne水系に属しています。ここから下流へは、Hetch-Hetchy渓谷(ダム湖)へと続くTuolumne大渓谷が、上流方面にはヨセミテの最高峰であるMt.Lyellへと続くLyell Canyonがあります。この流れに沿ってトレイルがあり、ヨセミテ渓谷とは全く雰囲気の異なる渓谷歩きを楽しむことができます。以下4回に分け、Tuolumneの簡単な紹介をしたいと思います。
ヨセミテ国立公園中央部の地図(National Geographic社Topo!より作成):左から右側へ青丸で、[1]Hetch Hetchy渓谷、[2]Grand Canyon of The Tuolumne River、[3]Tuolumne Meadows、そして[4]Lyell渓谷一帯を示しました。草色の線は分水界でTuolumneとMerced水系を分けています。Tioga Roadは赤線で、分水界を縫うように東西に走っています。

The Yosemite Book

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1869年に、California Geological Survey(カリフォルニア地質調査隊、Whitney隊)のJosiah Dwight Whitneyにより書かれた「The Yosemite Book」は、当時最も権威のあるヨセミテに関する案内書でした(これは豪華版で、後に写真なしの普及版「The Yosemite Guide Book」が幾度か改定、再販されます)。副題”A Description of the Yosemite Valley and the Adjacent Region of the Sierra Nevada, and of the Big Trees of California”に示されるように、ヨセミテ渓谷とその周辺、そしてマリポサのセコイアについて紹介されています。序章では、ヨセミテ渓谷が州立公園となり、調査隊が測量をするに到った経緯、マリポサ大隊のヨセミテの発見以降の話、インディアンによる地名の呼び方等についてまとめられています。2章でアメリカ全土から始まりカリフォルニア・シエラネバダに到る地勢・植生が述べられたあと、ヨセミテ渓谷(3章)、ハイシエラ(4章)、そしてBig Tree(5章)についてかなり詳しく書かれています。学者の書いた本で、かなり堅苦しいところもありますが、まだ地図の空白部が残る頃のヨセミテを知る貴重な一冊です。250冊しか刷られなかったこの本は、出版時の価格が10ドルという高価本で、現在では1万ドルを軽く越えるオークション価格が付いています。OctavoのCD本(写真)はJim Snyder(ヨセミテ国立公園の史家)のかなり興味深い前書きや、Carleton WatkinsとW. Harrisの写真や地図を含む原本の全ページの超高解像度写真が付いており、古地図・モノクロ写真に興味のある方にとってはお勧めしたいアイテムです。
Whitney隊の関連本として、メンバーのWilliam H. BrewerとClarence Kingが書いた二冊が挙げられます。「Up and Down California in 1860-1864」を書いたBrewerはWhitney隊の初期メンバーで、彼の本は1860年から1864年にわたる調査行の日記集です。ヨセミテに関しては、1863年の6−7月に、HoffmannとともにBig Oak Flatからヨセミテ渓谷に測量に入り、その後Mt. Hoffmann、Mt. Danaなどの登頂やSoda Springsを拠点として行ったTuolumne Medows一帯での調査、そしてBloody Canyonを下りMono Lakeへとぬけた時のことが書かれています。
一方Kingは、その著書「Mountaineering in the Sierra Nevada」の”Around Yosemite Walls”及び”A Sierra Storm”の章で1864年秋のヨセミテにおける体験を書き綴っています。エール大を卒業してから1年ほど経ったClarence KingとJames Gardnerは、1863年8月末にSacramentoでBrewerに合流します。そして翌年彼らは南シエラでの測量(Mt. Brewer、Mt. Tyndallの登山を含む)を終えた後、Gardner、Cotterらを伴いヨセミテ渓谷を訪れます。目的はヨセミテ渓谷がカリフォル二アに譲与された事を受け、その境界の測量を行うためでした。この二章は、Mt. HoffmannやYosemite Creek、ノースリム一帯での登山、ヨセミテの最初の冬の嵐からの脱出について書かれています。この本は、現在ではMuirのRitter登山記とともにシエラ登山記の古典となっています。

Shooting Star

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トレイルを歩いていると、湿地帯を横断する事があります。運がよければShooting Star(流れ星)を見かけることができるかもしれません。知りうる限り、Shooting Star=蚊の攻撃です。
White Wolf付近にて撮影。

熊技!

すやまさんの熊の写真の興奮が冷めやらない今日、以下の5枚の写真が手元に届きました。バックパッカーにカウンターバランス(食料をロープで木につるす)ではなく、ベアーキャニスターの使用を勧めるための資料です。人物後方の、縄にぶら下がっている茶色い箱は、鳥の餌箱だそうです。
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写真提供:Stanislaus National Forest,Groveland Ranger Station

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Historic Resource Study: Yosemite

20050802.jpg1987年に、Linda Wedel Greeneによってまとめられた1,200ページを越えるこの本は、内務省から発行されたヨセミテに関する百科事典とも言えるでしょう。有史以前のネイティブアメリカンの生活の調査に始まり、ヨセミテの発見、マリポサ大隊による探査、州立公園の設立、国立公園の設立、道路・トレイル網の設備、渓谷の国への返還、公園内の私有地、騎兵隊による管理、NPSの設立、開発・観光化等と、1970年代にいたるまでのありとあらゆる情報がまとめられています。添付されている地図、写真を見るだけでも価値があります。NPSより3本のPDFファイルとしてダウンロードができます。

Yosemite環境問題の本

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環境問題関係の本を二冊ほどご紹介します。まずはAlfred Runteの”Yosemite”。ヨセミテ国立公園ができてから終わることなく続く、保護と利用に関する論議についてまとめた本です。最近話題になった”Needle-Miner”によるLodgepole Pineへの被害の対策すら、するかしないかで過去に論議があったようです。NPSのWebsiteからダウンロードできます。
もう一冊はHetch-Hetchyダム問題に関する専門書です。ダムに没する前のHetch-Hetchy Valleyの話(当然Muirがでてきます)、サンフランシスコの水問題、賛成派と反対派の論争、そして連邦議会での論議、建設の話などが、中立の立場で非常に詳しく書かれています。意外なことに、当時のダム化反対主派(Sierra Club)は、Hetch-Hetchy Valleyにホテルやレストラン等を作り、さらにはTuolumne Meadowsへと続く道路建設(Colby Brief)を考えていたそうです。貴重な数々の写真とともに、1世紀近く前の興味深い環境論争が伺えます。
[1]Alfred Runte, “Yosemite, The Embattled Wilderness”,University of Nebraska Press, ISBN 0-8032-3894-0
[2]Robert W. Righter,”The Battle Over Hetch Hetchy”,Oxford University Press,ISBN 0-19-514947-5

The Yosemite: Galen Rowellの写真集

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Galen Rowellの写真集「The Yosemite」は、John Muirのオリジナル「The Yosemite」の文章と、Rowellの撮影した写真とを組み合わせて作られた写真集(本)です。元ヨセミテクライマー・登山家ならではの、意外な視点、時間、季節、場所で撮影された、素晴らしい写真が使われています。また写真だけでなく、(かなり長いですが)イントロダクションや各写真に書き足された解説もなかなか味があります。ヨセミテ土産お勧めの一冊です。
ISBN 0-87156-653-2

Bear Canister

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Bear Canister(熊缶)による食料の保存は、ヨセミテでのBackpackingでは、ほぼ義務化しています。写真は幾つかの製品を並べて撮影したものです。黒いのは、ヨセミテで貸してもらえる、Garcia社製のものです。このサイズは、2人で一泊の場合、かなりスペースが余ってしまいます。そこでストーブその他のものを一緒に詰めることになります。しかし二つほど問題点があります。一つはその重量(2lb. 12oz.)、そして大きさです。特に小ぶりのパックにはうまく入らず、外にぶら下げる事になります(あまりクールではないですね)。ところが、最近待ちに待った一泊用のモデルがBearValut社からでました(写真左、透明の缶)。これはG社製より1ポンドほど軽量で、かつパックに簡単に入る注目の一品です(注意:ヨセミテでは条件付で許可となっています)。

蚊よけスプレー等

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蚊の話が増えてきましたので、蚊よけ関連製品を幾つかご紹介。左から、蚊よけ成分の入った日焼け止めクリーム(SPF30)、手動霧吹き型スプレー(液体)、ガス使用のスプレー(液体)、スティック(固形)です(右端は単三電池)。全てにDEET(N,N-diethyl-m-toluamide)が入っています。DEETを使った製品は私の経験では、シエラの蚊には確実に効きます。
以前(7~8年前)、DEETなしの、柑橘系成分を使った乳液を使ったところ、全く効かずボコボコに刺されました(新製品は試していません)。
服にかけるのはちょっという方は、肌に薄く塗っておくのも技です。特に肩が良く刺されます。