対面授業とオンラインを融合させた授業の例(UCSC)

広島修道大学の西村です。2018年9月〜2019年8月にかけての派遣研究でカリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC:University of California, Santa Cruz)に滞在しました。ここでの対面授業とオンラインを融合させた授業の例を紹介します。Research Associate(客員研究員)として滞在していたのですが、許可を得て社会科学部の「Introduction to Global Information and Social Enterprise Studies」という科目の聴講をしておりました。以下はすでに大学のアカウントがないため、再度ログインして検証することはできませんので、私の拙い記憶と、当時のメモ、公開情報等をもとにしています。

1・プラットフォーム

UCSCではINSTRUCTURE社の「CANVAS」というLearning Management System(LMS:学習管理システム)を導入していて、各学生は大学から付与されたIDとパスワードでWEBからログインすると、自分が登録している科目の一覧や各科目のシラバス、担当教員からの連絡や各回の課題と提出状況、教員からの評価などが見られるようになっています。またiOS、Androidのアプリも学生用、教員用ともに無料で提供されており、iOS版は日本語化もされています。

INSTRUCTURE社

https://www.instructure.com/

CANVAS LMS

https://www.instructure.com/canvas/higher-education/platform/products/canvas-lms

 

2.「Introduction to Global Information and Social Enterprise Studies」の概要

この科目は社会正義と環境の持続可能性に関して、デジタルツールを駆使してコミュニティを支援する学生主体のプロジェクトを立ち上げ、活動する「Everett Program」という一連のコースで、3つの学期(科目)にかけて行われます。このうち最初のイントロダクションにあたる科目です。

科目概要

https://catalog.ucsc.edu/en/Current/General-Catalog/Courses/SOCY-Sociology/Lower-Division/SOCY-30A

Everett Program

http://www.everettprogram.org/

Everett Program紹介ビデオ

https://youtu.be/Ic_SADEdcHs

 

この科目は秋学期の火曜日と木曜日の週2回、17:20〜18:55という95分授業でした。これは「Class Time」と呼ばれています。また受講者はこの他に「Section Time」と呼ばれる週1回約一時間程度の小グループミーティングが設定されていました。9/27が初回のイントロ。Week1は10/2から始まり、Week10の12/6で終了です。(イントロ95分+10週)

担当者は専任教員1名のほか、専任のリーダーシップコーディネーターと技術コーディネーターが各1名、それからこのコース修了者が複数、フェローとしてかかわっています。クラスは定員が設けられていて70名だったと思います。

 

3.授業の進行

テキストはありません。専任教員が担当する火曜日の「Class Time」に向けては事前に課題が示されます。担当教員による各15〜20分のビデオ講義がたいてい2本、その他に関連する資料(新聞記事など)を読んでくることです。(なかなかハードです!)また各ビデオには最後にクイズやアンケートが出題され、必ず回答しておく必要があります。(教員は各学生がちゃんと見たかどうかがわかるのと、対面授業の際にアンケートの集計結果を紹介していました。)

ビデオ講義とクイズ、アンケートの出題は「CANVAS」にリンクした「Playposit」という仕組みが使われていました。

(これはリンクURLを残していたので、ビデオ講義を1つ紹介しておきます。最後にクイズが出題されます。)

https://www.playposit.com/share/289834/857818
「Playposit」の動画は外部のコンテンツのリンクです。この講義もYoutubeに「限定公開(URLを知っている人だけが見られる)の設定でアップされているものです。またオリジナルだけではなく、WEB上に上がっている既存のコンテンツを利用することも可能なわけです。

 

火曜日の「Class Time」(対面授業)では、講義はありません。ワールドカフェ形式のディスカッションです。学生は4名づつのグループに分かれ、ビデオ講義内容に関係した「問い」について15分程度討論し、その後全体でのシェアリングというセッションを複数回やり、最後に補いのための短い講義などが行われるという進行です。

木曜日の「Class Time」はコーディネーターが担当するリーダーシップとテクノロジーの講義でした。(これは、普通の講義や教室内での体験学習)

 

4.職員ストライキの際はZoomのオンラインで!

学期中、職員ストライキでキャンパス内に入構できない事態が2回ほど発生しました。「そうなったときは、Zoomでやるよ」と事前に告知されており、「CANVAS」で連絡がありました。

Zoomでの進行は、「Class Time」(対面授業)のときとまったく同じで、担当教員は自宅書斎から進行し、Zoomの「ブレイクアウトルーム」機能を使って4名グループを編成し、15分ほどのグループ討議。(時々、教員の見回りが入る)全体に戻って、シェアリング。この流れは対面授業とまったく同じでした。

 

5.その他

デジタルツールを扱う科目ですから「自己紹介動画を撮ってアップせよ」などの課題もありました。

 

6.参考になったこと

・まったくの反転授業(対面では講義をしない)の展開

・オリジナルで講義ビデオを作成する際には90分ではなく、トピックを区切り15〜20分程度

・講義ビデオには最後にクイズやアンケートの課題をつける

・WEB上のコンテンツで利用可能なものは使う

・Zoomで、教室内とまったく同じ(双方向の)進行ができる

 

以上です。