「WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs」

出版社よりご恵贈いただいた本を紹介します。「WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs」(いろは出版)https://hello-iroha.com/news/we-have-a-dream/です。(2021年6月2日発行予定)

日本ではSDGs関連の本がすでにたくさん出版されていますが、この本はずいぶんと違いました。世界中の若者たちが、貧困や不正義、内戦、独裁や腐敗、気候変動の危機など、それぞれの国々の現実の中から考え、もがき、そして行動の一歩を踏み出しながら、これからの夢を語っています。201ヵ国202人ですから、541ページもの分厚い本になっています。

この本を読んで井上有一さん(環境思想・環境倫理:当時は京都精華大)が言っておられたことを思い出しました。それは1992年のリオデジャネイロ地球サミットにおいて、各国首脳の会議とは別に並行して行われた世界中から集まった草の根の活動家たちの議論と文書化の作業(「NGOオルタナティブ条約」と呼ばれている)について、「社会の根底からの構造的変革に向けた展望」が示されていることと「持続可能性」に加えて「公正」という言葉が繰り返し現れるということです。

またドイツ在住のジャーナリスト高松平蔵さんが、日本で頻繁に語られるようになっているSDGsについて「人間の尊厳の概念の了解が決定的に抜けている」と指摘されていることも関連するなと思っています。https://www.interlocal.org/20200210-2/

日本ではこうした文脈がないところにSDGsは降臨してきたわけなので、SDGs関連の本は圧倒的にビジネス本。そして行政、地域づくりや市民活動についての紹介か。悪いことではないけど、そうした本が「売れる」ということなのでしょう。

202人の最後は日本から。この本のプロジェクトの呼びかけ人でおある市川太一さんが「この本は人類の希望そのもの。誰かが苦しむhopelessな状況をhopefulに変えたいという夢が記されている。」としめくくっています。

日本にあって、こうした世界中の草の根の若者たちの声、そして「夢」に、耳を傾ける機会は、ほんとうに少ないというか、まず、なかったなと気付かされました。なので、ぜひ多くの方々に手にとっていただきたいなと願っています。そして、行ったことある国、気になる国の青年たちの「夢」と出会ってください。