日本環境教育学会ニュースレター第108号(2015.3.31)に寄稿した文章です。
広島土砂災害の支援活動
西村仁志(広島修道大学)
2014年8月20日早朝、夏休み帰省中の京都の実家で、広島で豪雨による土砂災害が発生し、行方不明者が出ているという情報が入った。すぐに広島に戻り、翌朝から勤務校のある安佐南区、そして隣接する安佐北区の被災地域を見て回った。24時間雨量が257mmという想像を絶する大豪雨は住宅地の背後の山々からの土砂崩れ、そして土石流となり、家屋や道路を損壊させていたのである。
8月23日には安佐南区と安佐北区にそれぞれ災害ボランティアセンター(VC)が活動を開始し、私は安佐北VCの運営スタッフとして活動することとした。学会理事の降旗信一さん(東京農工大学)はこの日に東京より駆けつけてくれた。今後の支援について相談したところ、彼が理事を務め、私も東日本大震災の津波被災地での活動を行った「一般社団法人RQ災害教育センター」として広島の災害支援にあたるということ、そして本学会としてもこの動きに連携して「広島土砂災害緊急調査チーム」を立ち上げてメンバーを募り、現場に受け入れる体制を整えることとした。「RQ広島」として北広島町にある「ろうきん森の学校」を宿泊拠点として借り受け、主に県外からの個人ボランティアの受け入れとチーム運営を行ったのである。呼びかけに応じて学会員の高田研さん(都留文科大学)、理事の飯沼慶一さん(学習院大学)も相次いで広島入りし、とりわけ安佐北区可部東地区では支援活動のコーディネートの中心的役割を担っていただいた。
VCの運営は地元および近隣の社会福祉協議会のスタッフの他、関係団体、大学生、RQ広島を含め県外からも駆けつけた専門家などの寄り合い所帯ながら、毎日ミーティングと改善を重ねながら、毎日数百人、週末には1000人近いボランティアの受け入れと被災現場へのマッチング、派遣を行った。8月中はまだ天候不順が続き、にわか雨による二次災害に怯えながらの活動であったが、9月に入るとこんどは猛暑が戻り、土砂かきのボランティアのみなさんの熱中症の予防に「水分をとる、休憩をとる」と口すっぱく説明しなければいけない日々だった。
また、これらの動きと並行して私の勤務校のゼミの学生たちは9月中、安佐南区の八木小学校の「ほうかご教室」のボランティアに出かけている。被災地域にあって子どもたちが笑顔を取り戻し、心配なく遊べる環境をつくり出すために活躍してくれた。
今回の災害支援へと関わったことから、被災地区内外のさまざまな方々と出会うことができ、そこに県外の方々や学生たちをつないでいくことができた。これには東日本大震災、そして20年前の阪神淡路大震災での経験やつながりが生かされている。これからもきっと全国各地で起こり続けると予想される自然災害に際し、今回、被災地やその周辺に暮らす我々が経験し、学んだこと、そして出来上がったつながりを、大きな「力」としていかねばと思う。