岡 真里さん『ぜひあなたも田舎暮らしを始めてみませんか?』
1981年5月6日 神奈川県横浜市生まれ。
武蔵工業大学 環境情報学部 卒業。
東京農工大学大学院農学府に進学し、修士課程を修了。そのあと、結婚、広島への移住をきっかけに念願だった町おこしに参画するために湯来町を訪れる。現在は「古民家SATOYAMA」で古民家レンタルをし、子育て世代の若い世代の女性を対象としたイベントを企画し、湯来町の魅力発信に取り組む。
■岡さんは広島出身ですか?
いいえ、神奈川県横浜市出身です。
■子供の頃に好きだったことは?
小学校の頃は人形遊びが好きで、家の中で遊んでいた。中学・高校は3歳の頃からずっと習っていたジャズダンスをしていた。部活はバレーボール部に入りました。
■大学はどこへ行かれましたか?
高校生の頃、ごみ問題や沙漠化といった環境問題への関心が高まり、私自身も自然環境に対して何か貢献できないかと思い武蔵工業大学の環境情報学部に入りました。
■古民家に入ったきっかけは?
結婚をきっかけに広島にくることになり、念願だったプレイヤーとしてまちおこしをやってみたいと思い、湯来町にたどり着いたのです。
■古民家ではどういう活動をしていますか?
湯来温泉の真ん中にある古民家を借りて、一軒を修繕して、そのあと、若い女性でも楽しめるようなイベントをしている最中です。人を呼びながら、地域を楽しくし、いろんな人に知ってもらいたいという目的でやっています。空家の再生で、かわいくリフォームして、女性が住みたいと思うような視点でリノベーションしました。この中でイベントをすると湯来に住んで湯来の空家を借りたら、こんな風な生活ができるんだっていうモデルルームみたいな役割も果たしてもらっていて、ここにきてイベントを楽しんだ人が1年後とかに湯来の空家を見つけて住まれたら、すごくうれしいと思います。
この活動を始めて、3年たつけど、4軒の家に移住してもらっていて1軒が交渉中で、それをきっかけで住まれる方が増えてきています。このような感じで空家を再生しています。
■この活動でやりがいを感じるときは?
春分の日や秋分の日、小さなお子さんを持っているお母さんたちに来てもらってそこの空間を楽しんでもらうとき。リラックスしてもらいたいので、初めの頃は、年配の方が主だったが、最近は若い世代の方にもゆっくりとその時間を楽しんでくれて、ワークショップで草木染め教室や写真教室など小さいイベントもやっています。そういうのに参加してくれて、楽しみの幅をお客さんが広げていってくれてるなっていうのを感じる時が一番やりがいを感じますね。
■この仕事で悩んだり、やめたいと思ったことはありますか?
やめたいと思ったことはないです。大変なことは覚悟していたので。つらいときの一つはイベントをやるときに助っ人が必要になる。そういう時に、助っ人が集まらなかったり、お客さんが集まらなかったりするときですね。地域活性化に取り組む人はたいていそこに住んでいた人や、湯来町に何かの関わりがやっていたりする。でも私は神奈川から来たので、そういうのはないので、頑張っても、頑張っても、いつまでたってもお客さん扱いされてしまうときがつらいかな。
■この仕事で未来をどう変えていきたいですか?
1年後や5か月後くらいだったら、田舎でも活躍できるんだっていうのをもっといろんな人に知ってもらいたいです。10年、20年ってなったらやっぱり湯来町に移住してほしい。中山間地域も自分たちの新しい生活を始める場所として選択肢の一つに入れてくれるファミリーが増えてくれたらいいですね。
結婚してすぐ山に住むっていうのも選択肢にないかもしれないけど、今年も一般企業に就職しないで、湯来で就職すると言っていた男性がいました。もしかしたら、私が考えてることはそう遠くない未来なのかなと思います。東京や大阪とか大都市に生活の機能っていうのが集まりがちだけど、もっといろんな地域が特色を出して面白い生き方を提案してくれたら都会ではなくても田舎でも住めるのでは。都会では得られない田舎生活もあると思います。
■それで女性が来るようになったきっかけは?
今、ベビーマッサージっていうのをやっていて、みなさんが赤ちゃんの頃はなかったものだけど、今すごく流行ってて、取り入れたんです。そこにくるお客さんがイベントに来てくれたり、それから子育てサークル。幼稚園に上がるまでの0~3歳くらいのお子さんを持っているお母さんたちがだいたいそのくらいの年齢のお母さんって家にこもりがちなんだけど外に出てワイワイやるサークルを意欲的な人は作るんですね。そのサークルに無料で開放して遊べるということをしたのが大きいかな。ここは小さい子供も来れる場所なんだっていうイメージが定着してイベントに気が付いたら、そういうお母さんたちが集まるようになったっていうのはあるかもしれないですね。それと、若い人たちに来てもらいたいっていうのをチラシで訴えかけたっていうのも1つのきっかけかな。
■最後に学生に向けたメッセージはありますか?
修大生の先輩たちがペンキを塗りなおしてくれて、そのおかげでにぎやかになり、活気が戻ってきて、本当にやったことはすごく小さいことだけど実はそれが地域のためになっていると思います。見えないけどすごい大きなテーマを見つけてきて、それを解決しようとするけど、問題解決なんてしなくていいから自分たちがこれ、足りないな、これ面白そうだな、やってみたいなっていうものを、別に中山間地域に限らず、自分が気に入った場所で発揮してくれたらいいなと思います。そのためには、常に自分のこととしていろんなものをとらえてほしいです。特に地域学を学んでいる皆さんは大きいことは本当に考えなくていいので、自分たちにできることが地域のためになる、地域のためになったっていうのを最後に知ってもらえればいいですね。大きなことよりもできることを見つけてとにかく最後までやりぬいてほしいです。
■今日はありがとうございました。
ききて:橋本瑠璃
写真 :山本貴裕