長野佳嗣さん「自分がデザインしたものが形になり、実現することが嬉しい」

111月 - による webmaster - 0 - インタビュー記事

長野佳嗣

 

長野佳嗣さんプロフィール
1988年、愛媛県生まれ。2012年、広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科卒業。2013年より広島市立大学芸術学部非常勤助教。
2014年からは広島市立大学と中区役所が連携し、基町住宅地区を創造的な文化・芸術活動によって活性化を目指す「基町プロジェクト」のスタッフとしても活動している。
また、2015年8月に平和記念公園にて執り行った広島市被爆70周年記念事業「上田宗箇流平和記念公園茶会」の総合ディレクターを務め、広島の伝統的な文化による広島のあらたな魅力創造を目指す取り組みも行っている。

■長野さんは広島生まれなのですか?

いえ、愛媛県出身です。子ども時代は絵を描いたり、劇とかイベントを考えるのが好きだった。高校の頃は絵を描いたりだとかそういった創作関係には興味があんまりなかった。

■中学・高校では部活などされていたんですか?

中学校の頃は何もしていなかった。自分のパソコンでインターネットを使ったり、ホームページを作ったり、イラストを描いたりするのが好きだった。高校では、ひょんなきっかけからバドミントンを部活でしていた。運動はあまり得意でなかったけど自分なりに精一杯頑張った。

■大学で勉強したかったことは?

高校の時は普通科だったので進学が当たり前っていう感じだった。そこで、理系だったこともあって工学部の中の建築学科に入りたいと思った。でも、センター試験で思うように力が出せなかった。そんな時に本当にやりたいことはなんなのかもう一度考えてみて、一生の職業にして満足が行くものはやはりデザイナー関係の仕事かなと思った。

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■そこで今の仕事に至ったわけですね。

そうですね。それで美大系に行こうと思い、実技がいるので浪人して、絵の勉強を始めた。1年間予備校に通ってずっと絵を描きました。

■今の仕事にやりがいを感じるときは?

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やりがいを感じるのはやっぱり最初に自分が頭の中にイメージしたものが近い形で実現したとき。あとは、自分がいいと思っているところと相手が思っているところがかぶっていて共感が得られるとき。
そして、自分が作ったものにある程度満足することでやりがいを感じることができると思う。

■この仕事で迷ったり、やめたいと思ったときは?

今のところ辞めたいと思ったことはない。当たり前のことだけど、勉強とかで頑張ってテストの成績が良かったりすると褒められるかもしれない。でも、自分の中では趣味的な「ものをつくる」ということで褒められたり、認められたりすることには驚いた。これで褒めてもらえるのなら、ずっと続けられると思った。今でもそうで、デザインの世界をやめてしまう自分を想像する方が怖くなる。徹夜してまでやりたいと思うことは自分の中でこれほどはないと思う。

■この仕事で未来をどうしたいですか?

広島は原爆が落とされたということで世界的に知られている都市だと思う。でもそれだけだと広島という都市と価値が低くなっていくと感じて。福島の事故や9,11が起こったみたいに印象深い出来事は絶えず起こっている。原爆という悲劇があったってことは語っていってもいいと思うけど、これからはもっと文化的な面もアピールしていったほうが都市の価値や注目が上がっていくと思う。広島は原爆を落とされているけど、どこを見渡しても70年以上前の建物はほとんどなくて、壊れたものは作り直しても生まれ変わりの建物でしかないから、これからはソフトな部分、文化的な部分や精神的な部分は盛り上げていくことができると思う。例えば、広島のお茶で有名な上田宗箇流。全国的にもお茶の家元があるっていうのは少ない。お茶は文化のプラットフォーム的な役割がある。焼き物や掛け軸、お菓子、金属、漆などがあるから文化がまとまって発達しやすいし、成熟しやすいと思う。現代においては、そういう役割もずいぶん少なくなってしまっているけど、広島には上田宗箇流っていうのがあるからそこを軸にして、広島の歴史や文化を知ってもらうことが1番理想的かな。

*参考:上田宗箇流平和記念公園茶会のWEBサイト
http://www.pmp-teaceremony.com/

■最後に学生にメッセージをお願いします。

もっと学んだことを生かして自分の興味のあることや自分から行動して取り組むことが大事だと思う。よくあるのは、就職活動はうまくいったけど、実際に就職してみると、会社では自分の個性が生かせないからそれはもったいないと感じて。ずっと自分から何かをやり続けられることが大事だと思う。本当は何がしたいのか、どういう目的をもって生活していきたいかがある人とない人ではこれからの充実度合が変わってくる。自分の好きなことをして、人に認められ感謝され、それでお金にまでなる社会性があることが1番充実を感じる。そうなるためには、ある程度目的や理想像など1番興味があるものを知っておく必要がある。それを踏まえて、大学のうちに自分を知るため行動するきっかけを見つけてほしい。

■インタビューありがとうございました。

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ききて:山本貴裕
写真:橋本瑠里