地学 アーカイブ

2012年03月27日

Geology, Volume 1 (Google eBook)

1865年にJosiah Dwight Whitneyがまとめた調査の記録ですが。
GoodleのライブラリーからPDFを落とせるようになっています。

ヨセミテ関連は403ページ付近から。
セコイア、キングス方面は377ページ付近から。

http://books.google.com/books?id=Db0QAAAAIAAJ&source=gbs_similarbooks

古い記事ですが
http://www.yosemite.jp/mt31/archives/000731.html

投稿者 toshi : 13:19

2010年07月08日

California Geological Survey 設立150周年

今年で、CGSは設立150周年を迎えました。
Geological Survey of CaliforniaはJosiah D. Whitneyをリーダーとし、4年間近いフィールドでの活動をし、
ヨセミテ州立公園の境界測量、ヨセミテ・シエラネバダの測量などの功績も残しています(関連記事)。ちょっとしょぼいですが、記念カレンダーが出ています。後に設立されることになるUSGSの初代局長は、このときアシスタントをしていたClarence Kingです。


報告書表紙。


メンバー一覧


カリフォルニア州議会による設立のための条例(1)


(2)


投稿者 toshi : 13:56

2009年04月15日

Professional Paper 160

いつの間にかNPSのWebに、Matthesの論文”Professional Paper 160”がUPされていました。
とりあえずこのページは必見です。ヨセミテ問題(『渓谷がいかにして生成されたか』)の経緯に興味のある方には、イントロを読まれることをお勧め。プレートテクトニクス理論も存在しない1900年代初期の研究成果をまとめたものですが、今でもよく引用されるヨセミテ関連の重要な文献です。数多くの写真(白黒)とさし絵、そして氷河に覆われていた頃のヨセミテの地図(予想)が掲載されていますので、スキャンの価値はあります。

過去の関連記事

投稿者 toshi : 12:46

2009年04月14日

ヨセミテ渓谷における岩崩れの可能性

1999年、USGSのWieczorekらにより"Rock-fall Potential in the Yosemite Valley, California"という報告書が書かれています。この中にはかなり精密な地図(サイズは7MB強)が掲載されており、当時(1999年)に至る渓谷での岩崩れの跡、被害が及ぶ可能性のある地帯などが記されています。今回のAhwiyah Pointは、過去に岩崩れがなかった所のようです。

有名な2003年冬のCurry Village裏の岩崩れの報告書はこちら。絵と写真だけでも必見。


タイトル”Rock-fall”は、”落石”ではなんとなくイメージがわかないので”岩崩れ”にしました。

投稿者 toshi : 12:16

2007年01月07日

USGS Lecture: When Rocks Fall and the Land Slides

USGSによる、ヨセミテ渓谷の岩崩れに関するビデオがあります。お勧めの部分は
12分24秒〜 : 1850年〜1870年代の岩崩れの記録(C. King, J. Whitney, J. LeConte, G. Clark, J. Muirらの記録などから)
21分30秒〜 : ヨセミテ渓谷の形成の話
28分〜50分 : 最近の岩崩れについての説明と危険地域の解析。特に1996年のHappy Isle岩崩れについて詳しく述べています。
ビデオ(50分強)

USGS Western Region - Evening Public Lecture Series
When Rocks Fall and the Land Slides
By Gerald F. Wieczorek, Geological Engineer, and Raymond C. Wilson, Landslide Geologist

*Hear why California makes an ideal environment for landslides.
*Learn about rock falls, debris flows, and other landslides.
*There have been more than 500 documented rock falls and other slope failures in Yosemite National Park - what triggers these? How do park rangers deal with this hazard?
* John Muir gave a remarkable account of an 1872 rock fall in Yosemite Valley
* Large rock falls in Yosemite can generate ”air blasts” potentially dangerous to campers and hikers
* How did ancient glaciers help create the rock-fall hazard in Yosemite?

投稿者 toshi : 06:39

2006年11月12日

Professional Paper 160 :各ヨセミテ渓谷形成説のまとめ

ヨセミテ渓谷の形成論に(とりあえず)決着をつけたMatthesの論文の、イントロの部分をスキャンしました。1930年までの諸説について簡単にまとめています。PDFファイルで各600KBほどのサイズです。そのうち消すかもしれませんので、興味のある方はダウンロードしておいて下さい。過去の関連記事はこちら

表紙 内表紙
イントロ: page 3 page 4 page 5 page 6 page 7

以下は、最初にヨセミテ渓谷の形成について述べたWhitneyの『Geology』(1865年)の一部コピーです。ハーフドームの形成に関する意見は同じですが、この時点ではヨセミテ渓谷には氷河が入っていたことを認めていました。数年後に『The Yosemite Book』(1869)を書いたときには、氷河論(Muirの氷河論ではなくBlakeもしくはKingの見解)を否定します。

表紙 メンバー page 421 page 422 page 423 挿絵1 挿絵2

コピー入手先

投稿者 toshi : 06:32

2006年09月25日

USGSプレゼンテーション:Clarence King

1864party_large.jpg
写真:The 1864 field party of the California Geological Survey (Charles Hoffmann absent). From left to right: James T. Gardner, Richard D. Cotter, William H. Brewer, and Clarence King. Gardner is holding a sextant used for mapping and astronomical location; Cotter is armed with musket, dagger, and pistol; both Brewer and King have mercury barometers - used to measure altitudes - slung on their shoulders; and King holds a geologist's hammer. (U.S. Geological Survey Library)



あまりヨセミテは登場しませんが、USGSの面白いプレゼンテーションビデオを見つけました。
タイトルは”Mapping the American West: Clarence King and the 40th Parallel Survey”で、スピーカーはJames G. Moore氏(Geologist)です。 時間は約50分。1863年の夏、California Geological Survey(Whitney隊)のHoffmannとBrewerらはヨセミテでの測量を行いました。その時Mt. Hoffmann、Danaへ登頂しますが、Mt. Lyellへは不成功に終わります。その後Mono Lake、Sonora Pass、Carson Pass、Lake Tahoeを越えてSacramentoに戻ったBrewerは、San Franciscoへ向かう蒸気船に乗船し、そこでYale大学を出て間もないClarence KingとJames Gardinerに出会います。
氏の話はそこから始まり、一行のLassen Peakを始めとするカリフォルニア北部の探査(1863)、1864年の南シエラ(現在のKings、Sequoia NP、Inyo NF)と制定されたばかりのヨセミテ渓谷州立公園での測量、1867年からKing自らが率いたアメリカ西部・北緯40度付近での測量(the 40th Parallel Survey)について触れられます。そしてMt. ShastaやWhitney登山の逸話のあと、USGSの設立(Kingは初代所長)で話が結ばれています。

[註]話は変わりますが、文献から推察できるように、MuirはWhitney隊の記録をかなり意識していました。Tuolumne渓谷、Kings渓谷、Middle Fork Kings River、Mt. Ritter、Mt. Tyndall、Mt. Whitney、Mt. Shasta、ヨセミテの氷河(跡)、セコイアの群生などと、隊が調査・指摘・登山しようとした場所をことごとく追いかけています(Tyndallは間違った山を登りましたが)。

20060924.jpg
このビデオに関連した氏の著作は:”Exploring The Highest Sierra”(2000年、Stanford University Press)と”King of the 40th Parallel”(2006年、Stanford University Press)があります。前者は、南シエラの探検と地質学の2部構成といえます。総400+ページ。昔の地図、写真、絵などが多様され、見るだけでも楽しめます(後編は岩、造山などの話になり、少々退屈します)。

投稿者 toshi : 05:01

2006年07月20日

140号岩崩れの報告書

正式名称 Ferguson Rock Slide の地質学的見地の報告書が出ています。
落石によりMerced川がせき止めされるという、最悪の状態が起きる可能性は低いようです。
写真と地図は必見。USGS版はこちら

ところで、仮設の橋の建設が下流で始まっています。

投稿者 toshi : 12:23

2005年06月22日

Professional Paper 160 : 1930年

06212005.0.jpg

1865年、California Geological ServeyのJ. D. Whitneyは、地盤沈下によるヨセミテ渓谷の形成説を唱えました。Whitneyが発表した2年後の1867年には、William P. Blakeが渓谷は主に水による浸食で形成され、最後に氷河による浸食が入ったという説を唱えましたが、専門誌上で発表されたに過ぎず、一般の注目を浴びるには到りませんでした。一方、Whitneyの説は彼の一般向けの著作”The Yosemite Book”(1869年)や”Yosemite Guide Book”(1870年)によって有名になりました。Whitneyは、(Blakeの)氷河による浸食説を否定し、以前は認めていたヨセミテでの氷河の存在すらも否定するようになります。1871年、John Muirはヨセミテ渓谷が氷河のみの浸食によって形成されたという説を思いつきます。同年夏、Muirと共にヨセミテ・ハイシエラの旅行をしたU. C. Berkeleyの地質学者LeConteは、Muir説の氷河の浸食に、ある程度は同意しましたが、それ以前の水の浸食の影響も指摘していました。1874年、Muirは自身の研究の結果を雑誌に投稿し、それが一般の注目を浴びることになります(しかし後年には、カリフォルニア全土が氷河に浸食されたという極論を唱えるまでに到ります)。California Geological Serveyのメンバーでもあり、US Geological Survey(USGS)の初代所長となったClarence Kingは、氷河の流入があったことは認めるものの、その浸食の効果については殆ど無かったものとし、Whitneyのような地盤沈下の立場をとりました。他にも、多くの研究者たちが、それぞれの解釈や自説を発表します。例えば1899年にIsrael C. Russell(University of Michigan)は、氷河浸食説を否定し、Whitneyの地盤沈下説を支持しました。1899年にはHenry W. Turner(USGS)が、渓谷は岩の節理に働いた水による侵食と風化により形成されたもので、氷河の作用は殆どなかったと唱えます。また、同じUSGSのHenry Garnettは、氷河の侵食による形成説を唱えています。他にも多くの学者がそれぞれの説を唱えました。このように諸説が繚乱してまったのは、氷河や氷河流入以前の時代に関する、信頼のおける調査結果がなかったことにありました。1913年、シエラクラブなどの一般からの要求もあり、USGSはこの問題に決着をつけるために、ヨセミテ全域や周辺のハイシエラで、システマチックで徹底的な調査を開始する事にしました。その担当となったのは、主に岩の調査をしたFrank C. Calkinsと、氷河の歴史や、その浸食の進展について調べる事になるFrancois E. Matthesでした。長年にわたる調査の成果は、Matthesによりまとめられ、1930年にUSGSから”Geologic History of The Yosemite Valley:Geological Survey Professional Paper 160”というタイトルの論文として発表されました。これにより、60年にわたる論争に終止符が打たれることになりました。Matthes説の骨子は、広くなだらかな谷が形成されていたシエラ全体が数度にわたって隆起し、Merced Riverにより谷の浸食が進み、やがて深いV字谷が形成された事。そして、氷河期の到来で、そこに幾度かに渡って氷河が入りこみ、その浸食作用で、現在のように両側が垂直に切り立った渓谷が形成されたというものでした。その後の発見や調査結果により修正は加えられたものの、Matthesの説は現在でも、ヨセミテ渓谷の形成に関する通説として認められています。

写真:Professional Paper 160で使われている4枚??絵。オリジナル、もしくは類似の絵が、後に多くの書籍・ガイドブックなどで使われることになる。図説の年代は、Bill Guytonの”Glaciers of California”を使用。政府刊行物で特に著作権保護はされてないので、写真を掲載。論文で掲載されている写真の多くはUSGSのWebで閲覧する事ができる。

06212005.1.jpg

図1 :Broad Valley Stage - シエラネバダの隆起が始まる前のヨセミテには平らな谷が形成されていた。中央の山はHalf Dome。流れる川はMerced River。

06212005.2.jpg
図2 : Mountain Valley Stage - 2500万年前ごろからシエラネバダの隆起が始まった。これによりMerced River沿いの谷が削られていく。

06212005.3.jpg
図3 : Canyon Stage - 150万年前:氷河が入る直前のヨセミテ渓谷。かなりV字谷化が進んでいる。

06122005.4.jpg
図4: 2万年前(三度目)の顕著な氷河浸食が終わったすぐ後のヨセミテ渓谷。現在の渓谷の形が出来上がった。渓谷にはLake Yosemiteが残っている。


ヨセミテ渓谷の形成に関して詳しい一般向け参考書:

*1 Bill Guyton ”Glaciers of California”,University of California Press,(1998)
*2 Jeffrey P. Schaffer,”The Geomorphic Evolution of the Yosemite Valley and Sierra Nevada Landscapes”,Wilderness Press,(1997)
*3 Mary Hill, ”Geology of the Sierra Nevada”,University of California Press,(1975)
*4 N. King Huber,”The Geologic Story of YOSEMITE National Park”, Yosemite Association (1989)

投稿者 toshi : 13:03

2005年02月13日

Roadside Geology of Yosemite Valley

Modesto Junior Collegeで、ヨセミテ渓谷の地学入門記事を掲示しています。Arch Rock Entranceからの距離が書かれているので、スポットを探すのに便利です。渓谷の地学に興味のある方は、ぜひプリントして持って行きましょう。

投稿者 toshi : 00:15 | コメント (1)

2004年11月11日

Yosemite渓谷の形成

US Geologic Survey(USGS)のWeb Siteで、
Huber氏(”The Geologic Story of Yosemite National Park”の著者)による、
Yosemite Valleyの形成に関する一般向け文献が読めます。豊富な写真と図を使い、わかりやすく書かれています。

”Glaciers of California” (Guyton著) の四章でも、
同じトピックを取り扱っています。 こちらには、Whitney、King、Muir、LeConte、Matthesらの文が多数引用されており、楽しみながら読めます。

投稿者 toshi : 14:22