2004年04月15日

ハーフドームに登る

Half Dome


【重要】
国立公園局は2010年シーズン(5月〜10月)のハーフドーム登頂は、金曜日、土曜日、日祝日については各400名に制限します。(内訳:300名の日帰り、100名のウィルダネス宿泊許可)
今シーズン、ハーフドーム登頂をプランされている方は日程に注意し、必ず事前許可をとってください。
http://www.nps.gov/yose/planyourvisit/halfdome.htm

 ハーフドームはヨセミテのシンボル。「ヨセミテ国立公園大好き!」人間なら、この頂上に一度は立ってみたいと思うことでしょう。しかし往復16.4マイル(26.4km)、高度差1443mの道のり。そして最後はそそり立つ一枚岩をワイヤーケーブルを頼って上がる難関を突破しなけれればなりません。覚悟を決めて、しっかり準備をして出かけてください。これまで私のほか、多くの同行者が頂上に立ちました。(60代の女性もいます。)
 頂上のワイヤーケーブルは5月中旬〜下旬に張られ、10月上旬位に外されますので、この間にのみ登ることができます。
 所要時間はもちろん体力により異なりますが、早い人で約9時間。体力のない女性や子どもは12時間近く(あるいはそれ以上)みておく必要があるでしょう。つまり朝6時、おそくとも7時すぎまでには出発しなければいけません。
 登山口はヨセミテヴァレーの東端「ハッピーアイル」からです。ここからは途中のヴァーナル、ネヴァダ滝への「ミストトレイル」そして途中で分かれる「ジョンミューアトレイル(このトレイルは340km、セコイア・キングスキャニオン国立公園まで続いている)」またクラウズレストなどハイカントリーへのアプローチするためのすべてのルートの出発点です。
 ヨセミテヴァレーの夏はたいへん暑いので、出来るだけ早朝に出発し、気温の上がらない涼しいうちにできるだけ距離と高度をかせぎ、11時〜13時台には頂上に立っておくことが大切です。このことは後に述べる雷対策にもなりますし、また土曜・日曜など登山者が多い日には頂上のワイヤーケーブルで渋滞が発生しますから、やはり早い目に出発するにこしたことはないでしょう。
 カリービレッジやパインズキャンプ場からは10〜15分位でハッピーアイルまで歩いていけますので、5時台〜6時台に出発することが可能です。ですからハーフドーム登頂目的の人はカリービレッジかパインズキャンプ場での宿泊をすすめます。(とくに体力のない方は早めに出発したほうが良い)
 またクルマの方はハッピーアイル手前の「トレイルヘッド・パーキング」にクルマを置いて入山することになります。(トレイルヘッド・パーキング〜ハッピーアイル間は一般車両乗り入れ禁止なので徒歩。)ここにはベア・ボックス(クマ除けの鋼鉄製食料庫)もありますので、くれぐれも食糧は車中に置いておかないように。
 アワニーやヨセミテロッジに宿泊している方(もしくはヴァレー外の宿泊者)で、クルマのない方はシャトルバスの始発の時間が問題です。ヴァレー内シャトルは午前7時からの運行ですから、アワニーやヨセミテロッジに宿泊している方は、このバスより早くに出発しようとすると歩いてハッピーアイルまでこなければいけません。ここまで歩く間(ヨセミテロッジからだと30分以上はかかる)にも時間と体力が消耗してしまいます。つまりアワニーやヨセミテロッジに宿泊している方は必ず始発バスに乗ることが鉄則です。もしくはクルマの同行者がいれば、ハッピーアイル手前の「トレイルヘッド・パーキング」までクルマで送ってもらいましょう。

■注意!!
 必須の持ち物は水2〜3リットル。昼食。キャンディ、パワーバーなど非常食。地図とコンパス。帽子にサングラス、日焼け止め。革手袋(ワイヤーケーブルを手でつかんで登るときに必要、軍手は滑るので×)。そして懐中電灯(日没までに下山できない場合に備えて)です。
 靴は、ハイカットのトレッキングシューズ(軽登山靴)がおすすめです。なにしろ26.4kmも歩くのですから、スニーカーやふつうの運動靴では足・膝はボロボロになるでしょう。

 地図は「Yosemite Valley - A 1:24,000-scale Topographic Map by the U.S. Geological Survey」がお勧めです。ヴァレーのビジターセンターのブックストアで入手しておきましょう(7ドル)。Y.A.のオンラインストアでも入手できます。

 夏は気温が上がり、湿度が低いため体内の水分がどんどん蒸発します。汗をかかないため自分ではわからないのですが、補給をしないと脱水症状を起こし非常に危険です。のどの渇きにかかわらず、定期的に水分を補給しましょう。(1日のハイキングでは2〜3リットルの補給が必須だといわれています。また途中に飲料水の補給が出来る場所はありませんので、ペットボトル2〜3本を入れて持って上がりましょう。(トレイル上で飲料水が切れると危険です。)

 落雷に注意してください。夏の午後は積乱雲が起こりやすく、不意の雷雨に見舞われることがあります。とくに頂上付近では避難する場所がありませんので、ワイヤーケーブルのアプローチを開始する前にはとくに雲行きに注意しましょう。

 決して無理をせず、天候が怪しくなったり、ペースが遅すぎた場合には途中で引き返す余裕も持ちましょう。またこのコースは多くの登山者が通り、またレンジャーも巡回しています。困ったときには遠慮せず助けを求めましょう。

 最後の1枚岩にアプローチするワイヤーケーブルでは、ワイヤーに手をかける前に必ず革手袋をはめて登ってください。(素手だと摩擦で手が真っ赤になります。)

 トイレはヴァーナル滝下の橋、ヴァーナル滝上のエメラルドプール、ネヴァダ滝上の3ヶ所です。これを過ぎると上にはトイレはありません。

 ヴァーナル滝の下の橋から、ミストトレイルとジョン・ミューアトレイルの2つのルートに分かれます。この2つのルートはネヴァダ滝で合流しますので、上りと下りで違うルートが楽しめます。ミストトレイルは川や滝に近く、ジョン・ミューアトレイル(JMT)はその遠景です。またミストトレイルは石のステップ(急登)で、JMTはスイッチバックが中心(長いが緩やか)のコースです。膝への負担を考えると、登りにミストトレイルを使い、下山時にJMTを使うのがお勧めです。

 頂上からの眺めはすばらしいです。ヨセミテヴァレー、テナヤキャニオン、クラウズレスト、Mt.ホフマンやハイシエラの山々。時間の許す限りこの眺めを堪能してください。

 
■ルートの写真


ハッピーアイルからヴァーナル滝へ


ヴァーナル滝からトレイルを見下ろす。(ミストトレイル)

 
ネヴァダ滝です。             ネヴァダ滝上からリバティキャップを望む。


ネヴァダ滝上はビーチのようになっています。お早い下山の方はここで遊んで帰りましょう。ただし、足をすべらせて本流に飲み込まれると一気に滝まで落ちていきます。注意してね。


森の中のスイッチバックが連続します。このあたりは視界も開けず、気分的にしんどいですが、頑張りましょう。

 
ワイヤーケーブルです。足元にはステップも付いています。体感的には「垂直」に近いです。降りてくる人優先。いったん登り始めたら、あとは登るしかない。顔がゆがみ、お尻の穴もしぼむけど、国際協力してがんばりましょう。


ハーフドーム頂上。さあもう一歩、もう一歩端へ、端へ

■ハーフドーム・ハイカーズ・クラブ
頂上を極めた方はぜひ「ハーフドーム・ハイカーズ・クラブ」へご登録ください。

投稿者 nishimura : 2004年04月15日 12:59